【要注意】「ドメイン貸し」のリスクとは
「ドメイン貸し」とは何か?
「先生のドメイン(例:〇〇.jp)を貸してもらえませんか?」
「サブディレクトリを使わせてください」
──こういった提案を、Web業者や外部メディア運営者から受けたことはありませんか?
これは、いわゆる「ドメイン貸し」と呼ばれる行為です。
一見すると「医院にメリットがある提携」のように見えますが、実は極めてリスクの高い側面もある行為でもあります。
今回は、この「ドメイン貸し」に潜むSEO・法務・ブランディング上のリスクを明確に解説します。
1. 「ドメイン貸し」とは具体的に何を指すか?
ドメイン貸しとは、自医院が所有する独自ドメインの下に、
第三者の運営するページやコンテンツをサブディレクトリなどで設置させることです。
以下は例です。
•https://〇〇.jp/column-a/(←外部業者が執筆・運用)
•https://〇〇.jp/blog-b/(←他人の集客目的コンテンツ)
場合によっては「広告収益を折半しましょう」といった提案もあります。
しかし、自分のドメイン内に“他者の管理するコンテンツ”を置くということは、その内容に対する責任を医院が負う可能性があるのです。
2. SEOリスク 〜 Googleは“ドメイン全体”を評価対象とする
Googleは、Webサイト全体の品質や内容、構造を見て評価を行います。
つまり、「トップページだけ良質なら評価される」わけではありません。
このとき、外部の人間が書いた内容の低品質な記事や、信頼性に欠ける情報が含まれていると、
•ドメイン全体の評価が下がる
•本来の医院ページの検索順位まで下がる
•将来的なドメイン評価が毀損される
といった“連帯責任”のような状態になります。
これは、医院の誠実な診療内容に無関係な形で悪影響が及ぶという、非常に不合理な事態です。
3. 法的・倫理的リスク 〜 貸した側にも責任が問われる
たとえコンテンツが外部制作であっても、
“医院のドメイン内で公開されている”という事実だけで、「医院が発信している」と見なされます。
仮に以下のようなケースが発生した場合、
•誤った医療情報を掲載してしまった
•競合医院や製薬企業への誹謗中傷が含まれていた
•ステルスマーケティングやアフィリエイト規約違反があった
→ すべて「ドメイン所有者として医院の責任が問われる」可能性があります。
医療という公共性と信頼性の高い分野において、
このような第三者コンテンツの“看板貸し”は非常に危険です。
4. ブランディングの毀損リスク 〜 医院の理念と無関係な情報が並ぶ異様さ
医院のWebサイトは、医師の診療方針・患者への姿勢・専門性を伝える極めて重要な媒体です。
そこに──
•自費治療とは関係のないサプリ紹介
•他人が書いたコラムやエンタメ記事
•運営者不明の口コミ誘導型コンテンツ
こういった内容が混在すると、医院の専門性や世界観が一瞬で崩壊します。
特に、ポータル業者などはSEO目的で無関係なキーワードを大量に盛り込み、「医院名とまったく関係ない流入を稼ぐ」ために設計するケースも少なくないので、“本来あるべき医院の信頼”を損ねる結果になりかねません。
5. なぜ、こんな提案が後を絶たないのか?
ドメイン貸しは、外部業者にとって非常にメリットのある施策です。
•医療機関の信頼性を“傘”として活用できる
•Googleの評価を“便乗”できる(=ドメインオーソリティの恩恵)
•自分たちでは信頼を築けないジャンルにも参入可能になる
一方で、医院にはほとんど実質的なメリットがなく、せいぜい「記事が増える」「アクセスが増えるかも」といった程度。
要するに、営業トークの甘い言葉に乗ってはいけないということです。
6. 医院のドメインは“医院の人格”。貸してはならない
ドメインは単なる文字列ではありません。
それは、先生ご自身と医院の信頼、医療の誠実性、患者との約束が詰まった“人格”です。
それを軽々しく他者に貸すということは、名刺を勝手に配られ、背後で勝手に発言されるようなもの。
たとえ「サブディレクトリだけです」「表には出ません」と言われても、それは“ドメイン貸しの営業文句”であるといえます。
提案されたら?医院のWebは一貫性が命
•ドメイン貸しは、SEO・法務・ブランディングすべてにおいて高リスク
•Googleは“同じドメイン内”というだけで評価を下げることがある
•患者は「その情報を医院が発信している」と受け止める
•医療分野において信頼の毀損は、致命的ダメージをもたらす
提案されたら断るべきかと思います。医院のWebは、“医院の声だけ”で構成されるべきです。